白紙の企画書を前にして、時間だけが過ぎていく。そういうときにClaude Codeへ「企画書を作って」と頼むと、何が返ってくるのか。実際に試しました。返ってきたのは、形の整った長い文書でした。でも、そのままでは使えませんでした。間違っていたからではありません。この記事では、同じ企画で2回作らせて、何が違ったのかを実際の画面つきで書きます🐼
大きな仕事を丸ごと新しい会話へ渡す話はClaude Code分業術|大きな仕事は「指示書」1枚で新しい会話に渡す【2026】に書きました。1つの資料を長い依頼文でじっくり作り込んだ話は息子と離れて暮らす父親が高校受験のためにClaude Codeで作ったスライド資料にあります。この記事で扱うのは、短い材料を3つ渡して、たたき台を出させて直すところだけです。
① 白紙から書かない。たたき台を出させて、直す
・「企画書を作って」だけで頼むと、空欄のない文書が返ってきます。ただし決めたのは、あなたではありません
・渡すものを3つ(誰に/何を解決したいか/どう測るか)にすると、決まっていないことが名前つきで残ります
・出てきたものは、そのままでは使えません。確かめるのは3か所だけです
①-1 変えたのは頼み方ではなく、渡したものです
同じ企画で2回作らせました。1回目は一文だけの依頼、2回目は決まっていることを4つ書き添えた依頼です。文の丁寧さも、言い回しも変えていません。足したのは材料だけです。
①-2 何が変わったか
| 1回目(一文だけ渡した) | 2回目(材料を足した) | |
|---|---|---|
| 返ってきた量 | 3,009字 | 5,441字 |
| 決まっていないことの扱い | 末尾に「仮置きです」と1回だけ | 16件に番号がつき、うち7件が最優先 |
| こちらの条件 (15組・大人3人・参加費だけ・半日1回) |
1つも入っていない | すべて入っている |
字は増えました。増えたのは主に「決まっていないことの記述」です。1回目で勝手に決まっていた助成金や全6回の開催は、2回目には出てきません。ただ、2回目にも別の前提が残っていたことは、このあと書きます。

字数は増えましたが、決めることは1つの章にまとまっていました。どこから読めばいいかは、見ればすぐ分かります🐼
② いきなり「企画書を作って」と頼むと、どうなるか
②-1 送ったのは、23字だけです
1回目に送ったのは、この一文だけです。
地域の子ども向けワークショップの企画書を作って
誰に向けるのかも、いつやるのかも、いくら使えるのかも書いていません。まずは何も渡さずに頼んだら何が起きるかを見たかったからです。
②-2 3,000字を超える企画書が返ってきました

3,009字・12章。企画名、背景・目的、開催概要、プログラム内容、実施体制、予算計画、広報・集客、安全管理、スケジュール、効果測定、今後の展開、備考。項目の抜けはありません。
②-3 空欄がひとつも無い、それが困りものでした
形は整っています。ただ、どこを直せばいいのかが、見ただけでは分かりません。
定員20名、参加費1回500円、1回あたりの予算50,000円、満足度80%以上。数字がぜんぶ埋まっています。ところが、この数字はどれも私が決めたものではありません。決まった数字と、置いただけの数字が、同じ顔で並んでいます。
「仮置きです」という断りは、いちばん最後の章に1回あるだけでした。
②-4 渡していないのに、決まっていたこと
出てきた文書の中から、こちらが一言も伝えていない前提を数えました。
| 勝手に決まっていた前提 | 1回目の本文での出現回数 |
|---|---|
| 全6回のシリーズ開催 | 4回 |
| 定員20名 | 4回 |
| 参加費 1回500円 | 2回 |
| 1回あたりの予算50,000円 | 2回 |
| 助成金30,000円 | 4回 |
| 協賛・寄付10,000円 | 1回 |
| 講師謝金 | 1回 |
| 教育委員会・PTAの後援 | 2回 |
| 月1回の開催 | 1回 |
いちばん大きなズレは、助成金と協賛が前提に入っていたことです。こちらが使えるのは参加費だけでした。動ける大人も3人しかいません。1回だけやりたかったのに、半年間のシリーズになっていました。
・「企画書を作って」だけでも、形の整った文書は返ってくる
・ただし空欄が無いので、どこが決まっていてどこが決まっていないか分からない
・こちらの条件(15組・大人3人・参加費だけ・半日1回)は、1つも入らなかった
③ 渡すものを3つ変えると、形になります
2回目は、同じ企画をもう一度たたき台から作らせました。足したのは誰に/何を解決したいか/どう測るかの3つだけです。長い文章にする必要はありません。1つにつき1行で足ります。
③-1 誰に(自分の側の事情を、そのまま1行で)
こう書き足しました。1つ目に足した材料です。
誰に:土曜の午前しか時間が取れない、小学1〜3年の子どもと親。15組くらい
1回目は「小学1年生〜6年生」でした。6学年を1つの内容でやる案です。2回目は「小1と小3で同じ難易度は成立しない前提で設計する」という一文が入りました。親についても「付き添いで座っているだけ、になりがち」と書かれています。
「誰に」には、相手の属性だけでなく、こちら側の事情も入れました。 「土曜の午前しか取れない」は、相手の話であると同時に、こちらの制約でもあるからです。
③-2 何を解決したいか(困っている場面を、そのまま)
2つ目です。きれいな言葉に整えず、困っている場面をそのまま書きました。
何を解決したいか:家では画面を見ている時間が長くて、手を動かす機会がない。
親のほうも、何をさせたらいいか分からない
1回目の「目的」は4つありました。体験の提供、地域への愛着形成、世代間交流の促進、保護者の負担軽減。どれも間違ってはいません。ただ、どれも自分が困っていることではありませんでした。
2回目は、ねらいが1行になりました。「土曜の午前だけ、公民館の一室で、親子が並んで手を動かす90分をつくる」。そのあとに「子どもには画面じゃない時間を、親には家でもこれならできるという持ち帰りを」と続きます。渡した2つの困りごとが、そのまま2つの持ち帰りになっていました。
③-3 どう測るか(終わったあとに、何を見るか)
3つ目は、測り方です。
どう測るか:当日15組集まったか。終わったあとに「また来たい」と答えた組の割合
1回目にも「効果測定・評価指標」の章はありました。満足度80%以上、リピート率50%以上、ボランティア延べ30名。数字は立派ですが、測り方は「アンケート」としか書かれていません。
2回目は、測り方のほうが具体的になりました。分母は当日来場した組数、分子は「また来たい」と答えた組数。そして、こう添えられていました。
帰宅後のフォーム回収は落ちます。当日その場で書いて出してもらう前提で組んでいます。
数字の目標ではなく、取りこぼさない段取りが返ってきました。回収のタイミングは、こちらからは一言も頼んでいません。
3つの材料に加えて、最後にこの一文も足しました。
決まっていないところは、勝手に決めずに「ここは決める必要があります」と書き出してください
1回目はこの一文が無く、数字はすべて埋まって返ってきました。

・足したのは3行だけ。誰に/何を解決したいか/どう測るか
・困っている場面は、きれいな言葉に整えずそのまま書いた
・「決まっていないところは決めずに書き出して」を最後に足すと、空欄が空欄のまま残る
④ 出てきたものは、そのままでは使えません|確かめる3点
2回目のたたき台も、そのまま提出できるものではありません。ただ、どこを見ればいいかが分かる状態にはなっていました。見たのは3か所だけです。
④-1 その数字は、仮置きかどうか
材料費1組200〜400円、参加費、当日の所要時間。数字が出てきたら、それが自分の決めた数字か、AIが置いた数字かを1つずつ見ます。
2回目は多くの数字に「(仮)」が付いていました。ただし全部ではなく、見直しを頼むと(仮)を付け忘れて、決まった数字に見えているものもあると返ってきました。1回目は9種類の前提が全部仮置きなのに、断りは最後に1回だけでした。
④-2 自分が言っていないことが、混ざっていないか
1回目の助成金30,000円と協賛10,000円が、これでした。材料を渡した2回目にも、「親子1組で1つの物をつくる」「半日は9時〜12時」のように、こちらが言っていない前提が残っていました。出てきたものの中から「自分が言っていないこと」を探す、という読み方をします。
間違い探しではありません。埋まったこと自体は仕事として正しくて、採用するかどうかを決めるのがこちら側、という切り分けです。
④-3 決まっていないことに、名前がついているか
2回目には「ここは決める必要があります」という章があって、16件に番号が振られていました。兄弟姉妹の同伴をどうするか、テーマをどれにするか、開催日、参加費、公民館の利用条件、アンケートの聞き方。7件が最優先でした。
名前と番号がついていれば直せます。ついていなければ、直しようがありません。 1回目に足りなかったのは、正しさではなく、ここでした。
・確かめるのは3か所。仮置きかどうか/自分が言っていないことはないか/決まっていないことに名前があるか
・2回目の出力も、そのままでは使えない。ただし直す場所が分かる
・1回目に足りなかったのは正しさではなく、「決まっていない」という表示だった
⑤ そのままコピペで使える頼み方
この記事で実際に投げた2つを、使える形にして置いておきます。【 】の中を自分の企画に置き換えるだけです。
⑤-1 たたき台を出してもらうときの型
そのまま貼れます。【 】だけ書き換えてください。
【企画の名前】のたたき台を作ってください。決まっているのは、これだけです。
・誰に:【相手と、こちら側の事情を1行で】
・何を解決したいか:【困っている場面を、そのまま】
・どう測るか:【終わったあとに何を見るか】
・制約:【場所・お金・人・時間で決まっているもの】
決まっていないところは、勝手に決めずに「ここは決める必要があります」と書き出してください。
最後の1行を入れているのは、1回目にこれが無かったとき、空欄がすべて埋まって返ってきたからです。
⑤-2 出てきたものを見直すときの型
たたき台が返ってきたら、直してもらう前にこれを投げます。そのまま貼れます。
このたたき台について、次の3つだけ教えてください。直さなくていいです。
① あなたが仮に置いた数字と、そう置いた理由
② わたしが伝えていないのに、前提として書いた項目
③ まだ決まっていない項目のうち、これが決まらないと他が決められないもの
この型を、2回目のたたき台にそのまま投げました。仮に置いた数字、伝えていないのに前提にした項目、先に決めるべき項目が、それぞれ表になって返ってきました。ねらいの章の時間には(仮)が付いておらず、別の章のタイムテーブルとも食い違っている、という指摘まで入っています。
「直さなくていいです」と添えたので、たたき台そのものは書き換えられていません。直してもらうと、どこが変わったのか分からなくなります。見つけて並べてもらって、直すかどうかは自分で決めます。
⑤-3 AIにできないことも、書いておきます
・あなたの事情は知りません……渡した3行と制約が、AIにとっての情報のすべてです
・その企画が通るかどうかは分かりません……決裁の流れや、過去に何が却下されたかは持っていません
・捨てる判断はしません……決めることが並んでいても、どれを捨てるかは自分の仕事です
・最後に決めるのは自分……たたき台は、そのまま出すためのものではありません
たたき台は、提出物ではなく直すための材料として扱うものです。
・出すときの型と、見直すときの型は分けて投げる
・出すときは「決まっていないところは決めずに書き出して」、見直すときは「直さなくていいです」を添える
・AIは事情も、通るかどうかも、捨てる判断も持っていない
⑥ ファイルで残すと、あとから比べられます
⑥-1 1回目を消さずに、2回目を作れます

ここが、チャットの画面だけで作る場合との違いです。1回目を消さずに、2回目を作れます。
この記事に出てきた数字は、ぜんぶこの2つのファイルを数えて出しました。勝手に決まっていた前提が9種類あったことも、あとから並べて数えたから分かったことです。画面をスクロールして眺めるだけでは、この数は出せません。

2回目を作る前に、1回目はファイルのまま残しておきました。並べられたから、何が足りなかったのかを数字で言えます🐼
⑥-2 次の一歩
・調べてから作りたい……先に材料を集めるならClaude Codeに調べさせて表にまとめる|そのまま使えたのは6つ中2つへどうぞ。調べたものをそのまま使えるかは、また別の話でした
・毎回おなじ書き方にしたい……同じ形の資料を何度も作るなら、型そのものを覚えさせる手があります。AIに文章の型を覚えさせる5ステップ|100記事ぶんの試行錯誤【2026】
・頼み方そのものを整えたい……渡す材料ではなく言い方を変える話はClaude Code 指示のコツ3つ|同じ作業を2つの言い方で頼んでみたにまとめています
・白紙から書かない。たたき台を出させて、直す
・渡すものは3つ。誰に/何を解決したいか/どう測るか。1つにつき1行でいい
・「決まっていないところは決めずに書き出して」を最後に足す
・確かめるのは3か所。仮置きかどうか/言っていないことが混ざっていないか/決まっていないことに名前があるか
・ファイルで残しておくと、2回目を作ったあとに比べられる
⑦ よくある質問(FAQ)
- QClaude Codeを使い始めたばかりですが、できますか?
- A
日本語で頼むだけなので、この記事のプロンプトはそのまま貼れます。先に決めておくと楽なのは保存先のフォルダだけです。決めていないと、2回目を作ったときに1回目が見つかりません。
- Q企画書以外にも使えますか?
- A
試したのは企画書1本だけです。「誰に/何を解決したいか/どう測るか」を持つ資料なら、同じ渡し方が使えるはずです。
- QチャットのAIではだめですか?
- A
たたき台を出すだけなら、それでもできます。違いはファイルとして残るかどうかの一点です。この記事は、1回目を消さずに2回目を並べられる前提の上に成り立っています。
- Q「決めずに書き出して」の一文は、毎回入れたほうがいいですか?
- A
1回目は入れず、2回目に入れました。1回目は数字がすべて埋まり、2回目は「決める必要があります」の章が立ちました。ただ、2回目は材料も一緒に足しているので、どちらが効いたのかは、この2回だけでは切り分けられていません。一文なので、材料とセットで入れておくのが無難です。
- Q決めることが多すぎて、かえって手が止まりました
- A
全部を埋めてから出す必要はありません。2回目のたたき台では、「これが決まらないと他が決められない」印が付いた項目がありました。まずは印の付いたものから決めていけば、残りは後回しにできます。

